2011年08月15日

岡畑興産事件(東京地裁 平成23年3月23日)

先日の「富士ゼロックス事件(東京地裁 平成23年3月30日)」では
会社にとっての解雇(あるいは自主退職の取り扱い)の難しさが
現れました。

その一方で、解雇が認められた判決も出ています。

◇事件の背景


”労務提供の意思”の欠如を理由に、会社から解雇された元労働者が
解雇事由が存在せず、理由も不相当であり解雇無効を主張。

地位確認と解雇後の賃金(月額30万円)の支払を求めた。

◇裁判所の判断


職務専念義務に反する、職場放棄に匹敵するような身勝手な行為がみられた。
・勤務時間中に職務以外の研究に時間を割き、必要な情報提供を怠った
・退職勧奨に対し、失業手当をすぐに受け取る為に懲戒解雇せよとか
 週4日勤務への変更を強要し、欠勤を繰り返した

さらに、与えられたポストに見合う能力欠如、そして周囲に迷惑をかけるような
行為がみられた。
・新規事業開発に対し、実績を上げられなかった
・飲酒酩酊して失態があり、周囲に相当な迷惑をかけていた

上記の点は、労務提供の意思を欠いているという会社の判断の
相当性を補強するものということができるとし、解雇を有効とした。


職務遂行能力欠如に関しては、その立証がカギになります。
ポストに見合った要求であるか?
期間・費用など実現可能性を考慮して、実現可能性があるものか?
など、ポイントも様々です。

一方で、今回の判決においては”労務提供の意思欠如”という部分が
争点となり、それを立証する具体的行為の積み重ねが見られました。

職務専念義務については、近年は会社のパソコンを用いた
「私的なメール送受信」「私的なネット閲覧」
など、職務時間中の私的なパソコン利用に関する点でも
争点になりつつあります。

ところが、この点において就業規則等で対策をとっている会社は
まだまだ少ないのが現状です。  


Posted by IT社労士 at 00:28Comments(0)判例